入学

今回は、定年退職をこれから迎える方や、定年退職された方、60代70代の方に、通信制大学への進学について書いてみたいと思います。

通信制大学の年齢傾向

「生涯学習」が注目されて久しく、中高年向けの学び直しの場も通信教育やカルチャースクール、大学の公開講座など年々充実してきており、最近では萩本欽一さんが駒澤大学仏教学部に入学されたことも記憶に新しいかと思います。

実際、シニア世代の通信制大学への進学者は増加傾向にあります。

下記の表は、文部科学省が発行している「大学通信教育基礎資料集」の通信制大学への進学者の年齢別割合を統計したものです。これによると平成18年では5%程度だった60歳以上の進学率が、平成23年には10%まで増加しています。通信制大学への進学者は、全体的に年齢層が高くなってきている傾向があり、10代から30代が減少するのに対して40代以降の世代の進学者は年々増加しています。

 

シニア世代の増加グラフ

文部科学省:大学通信教育基礎資料集

学ぶ意欲の高いシニア世代

シニア世代の特徴は、学ぶ意欲がとても高いことです。10代20代の学生が「なんとなく大学に進学する」のとは違い、中高年の進学者はとても意欲的で、日々学習を欠かしません。これを若い学生は「中高年は時間がたくさんあるから」などと言うこともありますが、「資格を取って就職しよう」とか「とりあえず大学卒業資格だけ取ろう」とか考えている若者に比べ、「”学び”を深めよう」とする中高年の方がより純粋に学習を楽しんでいる傾向があるようです。

また、2016年現在の大学進学率は56%ですが、団塊世代の大学進学率は15%程度でした。当時、金銭的な問題やその他の事情で大学進学を諦めた方が、定年を過ぎて再度挑戦するということも多いようです。これは40年越しの夢を叶えることになるわけですから、学習意欲が若者に劣るはずがありません。

若い世代が、学習や進学の先にある金銭的なものを目標に我慢して勉強するのに対して、シニア世代の大学進学者は学習そのものを楽しんだり、進学そのものを喜びと感じているので、学習意欲はもちろん、学びの深さも変わってきているのかもしれません。

シニア世代向けの通信制大学

これらの傾向から、通信教育を実施している大学や大学院でも、シニア向けの優遇先を取るところが出てきました。今回は、シニア向けに奨学金や優遇策を設けて、入学を歓迎している通信制大学を紹介したいと思います。

シニア奨学金制度のある通信制大学

産業能率大学 通信教育課程では、シニア世代に向けて「シニア奨学金制度」を設けています。「シニア奨学金制度」とは、入学した時点の年齢が満60歳以上の方で、正科生として入学する場合には、年間で90,000円が給付される制度です。奨学金の給付は入学年度のみ可能ですが、産業能率大学通信教育課程の年間の学費は21万円ですから、半額近くが給付されることになります。

愛知産業大学 通信教育部では、「シニア奨学金制度」を設けています。この「シニア奨学金」は定年退職をされた方に向けて設けられた制度で、授業料年額10%相当額が免除となる制度です。

八洲学園大学では、「シニア割引制度」を設けています。「シニア割引制度」とは、八洲学園大学では、1科目履修した人には1科目分の授業料、10科目履修した人には10科目分の授業料がかかる「単位従量制授業料」が採用されていますが、シニア割引は何科目履修しても同じ授業料となります。シニアコース(50歳~59歳の方)は半年間で109,000円、プラチナコース(60歳以上の方)は半年間99,000円となっています。半年間で25単位まで履修可能で、また、半年ごとにコースの利用の有無を選択が可能となっています。

60歳以上の学生が多い通信制大学

奈良大学では、60代以上の学生が全体の57%を締めています。これは、全国でもトップクラスで、もっともシニア世代が多く活躍している大学になります。奈良大学では奈良にある立地を生かして、文化財歴史学科を開校しています。そのスクーリングでは、実際に奈良のまちを歩き、フィールドワークを実施しており、これらのことがシニア世代に人気が出る要因のようです。

京都造形芸術大学のシニア世代の学生比率は19%。18歳から94歳!までの方が在籍して、学習しています。また、京都だけでなく、関東や北海道など日本全国に学生が多く在籍しているのが特徴です。

創価大学のシニア世代の学生比率は12.8%。18歳~80代までの方々が日本全国で学習しています。

また、法政大学の通信教育部でもシニア世代を歓迎しており、若者だけでなくより広い世代へ学びを提供することで大学自体の幅を広げようと動いています。

学費が安く、気軽に始められます。

全日制の大学であれば、学費は100万円以上掛かってしまいますが、通信教育であればその10分の一程度まで学費を抑えることが可能です。また、現在の通信教育課程を設けている大学では、通信と通学の垣根を無くそうと動いている大学も多く、スクーリングや実習、図書館の利用などの制限が無い学校がほとんどです。

大学に入りたいけれど学費の高さに躊躇していた方や、もう一度勉強し直したいと思っていた方、通信制大学であれば学費も安く自宅で開始することができます。また、通学の必要が一切無い大学もあるので、日本全国の通信制大学から入学先を選ぶことが可能です。資料は無料で取り寄せることが可能なので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

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